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7月15日

セレモ プロフェッショナルに訊くVol.2 「相続法は何がかわったのでしょうか」

ハートtoハート vol.113(2019年秋冬号)より
セレモ プロフェッショナルに訊く

 

今回のプロフェッショナル
NCPグループ 司法書士法人NCP 代表 井上真之氏

相続分野のリーディングカンパニーとして、年間5,200件以上の相続手続き・遺言作成のサポートをしている専門家集団。代表の井上氏は、金融機関、新聞社、不動産会社などで遺言・相続を中心とした各種セミナー講師としても活躍中。セレモでも相続セミナーをお願いしています。

 
 

大切な人が亡くなった後に、悲しみにくれながらも避けて通れないのが遺産相続の問題です。遺言書が見つかったらどうしたらいいの? 個人の預貯金はいつおろしたらいいの? 遺産分配はどのようにしたらいい? など、気になることはいろいろあります。いざ、その時になって焦らないためにも、事前に知っておくことが大事です。セレモの相続でおなじみの、遺産相続のプロ、井上氏に今回の相続法改正のポイントについてお伺いしました。

 
 

相続法改正の主な点を教えてください

 

一番大きく変わったのが遺言書の見直しです。自筆証書遺言と呼ばれる手で書く方の遺言書ですね。こちらについて思い切った改正がされました。そもそも遺言書には手で書くものと、公正証書で作るものの2種類があります(他の種類もあるが実際にはほとんど使われていません)。公正証書で作成した遺言書は、公証役場が保管してくれるもので、これは今まで通り変わりはありません。
自筆証書遺言については、今回の改正で法務局に預けることができるようになりました。これまでですと、遺言者の死後、自筆の遺言書を保管または、発見した相続人は家庭裁判所に提出して検認を請求しなくてはなりませんでした。検認とは、偽造・変造を防止するため、遺言書の内容を明確にすることです。これが今回の改正で、法務局に預けたものについては検認の必要がなくなりました。
法務局が保管してくれるメリットとしては、遺言書の所在が明らかになるということもあります。「もしかしてうちの親父が遺言書を書いているかも?」と思ったときには、亡くなった後に照会できるようになるのです。法務局に戸籍謄本を持っていけば全国どこでも調べることが可能になるので遺族にとって大きなメリットになります。
そして偽造、変造を防ぐことになるのも大きなポイントですね。実際に偽造、変造がなくても遺言書の内容が疑われる事例は多くあります。遺産をもらえなかった側からすると、一言二言言いたくなるものです。「寝たきりだったのに書けるわけはないだろう」とか「どうせお前の嫁が書かせたのだろう」等々、偽造、変造がなくても、疑うことによるトラブルはものすごく多いのが現状です。結局、遺言を書く現場を誰も見ていないことが原因になるので、法務局に預けることになれば、本人が書いたものかどうかの担保がとれるので安心です。これは重要なポイントですね。

 

遺言を書く上で、気をつけることはありますか?

 

4つの絶対条件があります。
1. 自筆であること
2. 日付の記入
3. 氏名の記入
4. 押印(認め印でも可)
このうちの一つでも欠けると無効になってしまいます。内容で大事なことは「○○に相続させる」と明記することです。あげる、与えるという文言でも無効ではないですが、できるだけ避けてください。「○○に後を任せます」というのも、相続させる意思が読み取れないので無効とされてしまいます。相続させるものを具体的に書く場合は、例えば「不動産を長男に相続させる」「預貯金は長女に相続させる」などの書き方で大丈夫です。中には細かく、○○銀行の普通口座、口座番号○○と書く人もいますが、万が一、口座名や番号などを間違えると、その預貯金は使えなくなってしまうので注意が必要です。
また、改正によって遺言書のうちの財産目録については、自筆でなくてもよいことになりました。実際に不動産について書くのはややこしいものです。物件の所在、地番とか、マンションですと何平米とか、自筆で書くと結構長くなってしまいます。これまでは何が何でも自筆であることを要求されたのですが、ワープロやパソコンで作成したものでも可能と簡素化されました。
法務局の保管制度は来年(2019年当時のインタビューなので2020年のこと)の7月にスタートする予定です。

 

介護をした人にも関わることもあるようですが

 

わかりやすい例で言うと、義父の介護をした長男の嫁も、介護相当分の金銭を受け取ることができるという改正です。これまでも「寄付」という考え方があり、「長男は次男より親の介護をしっかりやっていたから、相続額を多めに配分しよう」という配慮がありましたが、これは法定相続人でなければ認められません。被相続人の長男が存命であれば、何らかの見返りが得られますが、長男が亡くなっていてその妻が介護をした場合には、義理の娘であるにもかかわらず相続権はなく、介護に関わっていない兄弟が遺産を相続することになっていました。
改正後は、相続人ではない親族が基本的に無償で介護をした場合に、貢献分を認め相当額の金銭を要求できることになりました。ヘルパーや施設を利用したらこれくらいは費用がかかるであろうと、その分の金銭を支払うということが、明文化されたのです。

 

相続のトラブルで多いのはどのようなことですか

 

遺言書のトラブルは多いですね。例えば肝心なことが書かれていないというケースがあります。この財産はこのようにして作ったとか、家族仲良く暮らすようにとか、誰に相続するかをきちんと書いてからならいいのですが、蛇足が多くて大事なことが書かれていないというものです。これでは遺言として読み取りようがありません。これまで生きてきた経緯を書くというのは、高齢の方に意外と多くある実例です。ファミリーヒストリーとして残したい気持ちはわかりますが、遺言書で大切なことは、「誰に何を相続させるか」ということです。遺言書を書くときはできれば弁護士や司法書士、税理士、行政書士など専門家に見てもらうと良いと思います。
そして、相続でトラブルが起きるのは感情的なもつれが起因するものが多いことも覚えておいてください。お葬式の時の席順が気に入らなかったからハンコを押さないなど、遺産分割に響いてくることもあります。また、長男だから家を相続して当たり前などと、変に長男風を吹かせるとロクなことがありません。今は平等な世の中ですからね。遺産相続で争いになると決着がつくまで長い時間がかかります。そして、その後の親戚づきあいがなくなってしまうことにもなります。
相続を問題なく済ませるためにも、日頃から少しずつ知っておいて損はありません。相続法の改正についてはまだまだ説明したいことがありますので、ぜひ、セレモの相続セミナーに気軽にお越しください。

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