セレモ プロフェッショナルに訊くvol.5「故人の好みやイメージを花で表現してお送りする」
ハートtoハート vol.110(2018年冬・春号)
セレモ プロフェッショナルに訊く
今回のプロフェッショナル
株式会社ハートフラワー
常務 小林 功 氏
セレモのお葬式で使用される供花、祭壇を彩る花などはすべてハートフラワーが担当し提供しています。白菊がメインだった葬儀の花も時代とともにお客様のニーズが変わり、多種多様なお花を用意するようになったともいいます。セレモで3年働いた後、ハートフラワーのオープニングスタッフの一員として花一筋に仕事をしてきた小林常務にその舞台裏を伺いました。
ハートフラワーの仕事について教えてください。
セレモのお葬式に関わる生花全般を扱っています。喪主、子供一同など、祭壇の両脇にお飾りする御供花と、祭壇自体をお花で飾る花祭壇というものがありますが、こうした花に関わるものが9割以上を占めます。そのほかに御供物があります。種類は4種類あり、缶詰セット、ジュースセット、果物セット、それとご家庭用のちょうみりょうを詰め合わせたバラエティセットというものがあります。御供物の中で一番多くご注文いただくのは缶詰セットです。
御供花も昔ながらのスタイルが多いのでしょうか?
はい。御供花に関しては昔から菊がメインで今も変わりません。白菊が使われ続ける理由には諸説あります。例えば菊の香りがお香に似ているからという説や、白菊は日本では皇室の紋章に使われるなど格調が高い花などです。
それとは別の商品になりますが、お花を手向けるという意味で細菌ご好評をいただいているものに、お棺の上に置乗せする赤バラの花束があります。『ローズブーケ』という、バラに特化した商品で、故人に贈る最後の花束です。心を込めてお作りするこの花束はバラ一輪一輪が大きく、約30本のバラにカスミソウを合わせてボリュームのあるものとなっています。かつての葬儀で赤い花、特に赤いバラを使用することは非常識と思われかねず敬遠されていたものです。しかし時代とともに昔のタブーはなくなってきました。人々の考え方も変わり、今では逆に赤いバラを使ってほしいというご要望が増えてきています。常に赤いバラを大量に仕入れて、新鮮な状態でご提供できるのも、ご希望するお客様がいらっしゃるからです。
ローズブーケをパンフレットに記載して商品化している葬儀社はセレモだけです。そのほか、ご好評いただいているものは、お棺の周りを華やかに飾る『棺周り花』で、花の色合いはご希望に応じてお作りしています。
葬儀の花を調達するうえで大変だったことはありますか?
大変なことはたくさんあります。お客様のご要望には可能な限りお応えすることを基本としているので、特殊な花や時季外れな花のご依頼が急にあったときでもすぐに対応できる体制をとっておかなければなりません。
葬儀は予期せず行うものですから、2、3日、中には1日で手に入れなくてはならないケースも多々あります。例えば、春になると桜を花祭壇の中に入れてほしいとご要望されるお客様が多くなります。桜のシーズンでしたら問題はありませんが、さすがに5、6月に入ると仕入れが困難になってきます。そういった場合、生花市場の仲卸さんに相談し、ネットワークを駆使して東北方面から直に取り寄せるなど普段使わないルートでさがしてもらうこともあります。
この季節外の桜の場合でも最終的には見事な桜を飾ることができ、お客様に喜んでいただけました。
花祭壇とはどのようなものなのでしょうか?
白木の祭壇に代わり、お花のみで祭壇を演出するものです。セレモのパンフレットには基本的なスタイルのみを載せていますが、オリジナルの花祭壇をお作りすることも多くあります。
白菊やスプレー菊でペガサスや富士山を描いたり、先日、オートバイ販売店のオーナー様のご葬儀では故人が愛用していた大型のバイクを描いたりもしました。ゴルフが大好きだった個人がいつかプレイしたかったという、アメリカのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブのコースを再現したこともあります。マスターズ・トーナメントの開催コースとして名高い場所ですよね。
どの花祭壇もオリジナルで同じものはありません。花を挿す担当者としては、デザインを描くのも、現場で仕上げるのも長い時間を掛けられないため、大変な作業となります。とはいえ緊張感はありますが、とてもやりがいがあり、誇りの持てる仕事だと思います。
実際に花を挿す技術者はどのように育てられているのですか?
社員募集をする際、経験は問いません。入社後、一人ひとりに指導者を付けて基礎からしっかり教えていきます。基本的な菊を使った配列やラインがさせるようになると、だんだん複雑で大きいものにチャレンジしていきます。
テクニックを学ぶ工程は10段階ほどあり、それを一つずつクリアしていき、最終的に社内の技術検定試験を受けもらいます。合格してようやく一人で花花壇を挿すことができるのです。
平均して3年くらいは掛かるでしょうか。しかし合格してからが本当のスタートです。お客様に恥ずかしいものは出せませんから、最初からきちっとしたものを作り、徐々に大きな祭壇にチャレンジしていき、コンスタントにお客様にご満足していただけることができるようになれば、さらに大型祭壇を手掛けていくというステップアップをしていきます。
お客様に知ってもらいたい新しい試みはありますか?
『お別れ胡蝶蘭』をぜひお知らせしたいです。
お葬式の際、祭壇の前にお飾りした胡蝶蘭の鉢を、お別れのお花入れ時、花びらを全て摘み取り、ご遺族やご親類の方にお棺の中へ納めていただきます。花びらを摘み取った胡蝶蘭の鉢はいったんお預かりし、山梨県の生産元に送り、1年後に同じ株にたくさんの花をつけた、美しい胡蝶蘭の鉢としてお客様の元へお届けするサービスです。
満開の胡蝶蘭の花を取って茎だけになってしまうことに複雑な思いをする方もいらっしゃいますが、再び開花させて、お供えできることで、とても喜んでいただいております。胡蝶蘭の生産者が長い年月を掛けて再生技術を確立しましたので、100%に近い確率で咲かせられるようになりました。1年後に満開となるように温度調整をして育成を管理し、お葬式の後約9ヶ月たった頃にお客様とご連絡を取り、いつ頃おとどけしたらよろしいかを伺います。命日に近い日にお届けして、再び故人にお供えするというサービスは千葉県内ではセレモだけが行っているものです。
1週間単位での数量限定商品とはなりますが、より多くのお客様にご利用いただきたいと思っています。
[小さな家族葬]byハートフル
小さな家族葬は、常にお客様の立場になってご提案から当日までお付き合いをさせていただきます。
対応エリアは千葉全域から船橋まで対応いたします。安心のセレモグループです。