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12月22日

セレモ プロフェッショナルに訊くvol.8 「遺言書はなぜ必要か?」

ハート to ハート vol105(2015年夏秋号)
セレモ プロフェッショナルに訊く

 

今回のプロフェッショナル
司法書士法人NCP

代表 井上 真之 氏

 
 

遺言書の作成から相続手続きなど、葬儀の前後に関わらず、親身になってさまざまな相談に応じています

 

財産が少ないから、遺言書なんて必要ないと思っていませんか。財産の多い、少ないに関わらず、ご自身の思いをご遺族に伝えることで、無用な苦労や争いを避けるために役立つのが遺言です。

 

皆様がとても気になる、遺言書の作成から相続手続きなど、幅広いご相談応じ、年間3000件を超える相続手続きを手掛けている相続のプロフェッショナル集団「司法書士法人NCP」代表の井上真之氏にお話をお訊きしました。

 
 

遺言書がなかったら、財産の相続はどうなるのでしょうか?

 

不動産や預金などの財産があった人が亡くなると、相続の権利は妻や子どもたちといった法定相続人に移ります。この法定相続人が複数いる場合は、全員で協議して誰がどの財産を取得するか決めることになるのです。
ここで重要なのは、全員が同意しなければならないことで、一人でも反対者がいたり、連絡が取れない相続人がいたりすると、相続手続きを始めることができません。このため、話がこじれて争いが起きる可能性があります。話し合いがまとまらないと、家庭裁判所で調停になり、半年から2年近くかかることもあるのです。

 
 

自分で書いた遺言書でも無効になることがあると聞きましたが。

 

遺言書には、ご自身の手で書かれた自筆証書遺言と、公証役場で公証人を介して作成する公正証書遺言の2つがあります。自筆証書遺言は手軽に作成できますが、その反面、内容の不備などで無効になったり、相続間のトラブルになるケースが多くあるのです。

 

自筆証書遺言が有効になるには、

  1. 自筆であること(ワープロで作成し、プリントアウトしたものはダメです)
  2. 遺言者の氏名が記載されていること
  3. 印鑑が押印されていること
  4. 遺言書の作成日付があること

以上の4点が必要です。この4つの条件をすべて満たしていなければ、無効となってしまいます。

 

特に問題となるのが、①の自筆であることです。「父さんの筆跡とは違う」「この日付のとき、父さんは字が書ける状態ではなかった」などと、もめる原因となりやすいのです。また、日付に関しても、何枚かの遺言証書があるときはら日付の新しいものが優先されます。

 

さらに、自筆証書遺言では、家庭裁判所で「検認」の手続きを経て「承認済み」の、印を押してもらうことが必要です。これによって初めて、不動産や預貯金などの相続手続きをすることができます。

 

このように自筆証書遺言は簡単に書けると言われていても、内容が不備で効力に問題があったり、諸手続きが煩雑になります。私たちNCPでは自筆証書作成のお手伝いや内容のチェックをさせていただいています。

 
 

遺言でモメないために

 

公正証書遺言とはどういうものですか?

 

公正証書遺言は、公証人と証人2人の立ち会いのもとで作成します。

 

公証役場に原本が保存されているので、偽造や紛失の心配がありません。さらに、家庭裁判所での検認手続きが不要で、ご遺族に負担が掛かりません。

 

ただし、公正証書遺言の作成別途費用が掛かり、証人2人が必要になります。この証人は遺産相続に関して利害のある人は除外しなければなりませんので、個人で頼むのは意外と難しいものがあるようです。当NCPでは、公正証書遺言の作成をサポートするほか、証人2人を当方スタッフで揃えることも可能です。

 
 

「財産が少ないから遺言書は必要ない」と考えていますが…?

 

標準的な家庭では、そのご主人が持っている財産としては、住宅ローンを組んで購入した土地とその住宅、そして少しの預貯金になるのが典型例です。少しの預貯金に対して「財産がない」と考えているのであれば大きな間違いです。

 

仮に、そのご主人Aさんと長男Bさんが同居していて、次男Cさんは別に住んでいたとしましょう。このようなケースでは、Aさんが亡くなると、相続権はBさんとCさんに発生します。遺言書がないケースでは、Aさんの自宅の土地と建物、預貯金を均等にBさんとCさんに分けなければならなくなるのです。

 

つまり、Aさんの自宅の土地と建物を二つに分けるか、それができないなら土地と建物を売ってその代金を分割することになるかもしれません。こうなると、Bさんは今まで住んでいた家を出るだけでなく、住み慣れた土地も手放さなけらばならなくなってしまいます。

 

このようなことがないように、「自分の土地と建物は長男に、預貯金は次男に相続させる」と遺言書に書いておけば良いのです。

 

また、うちは家族仲がいいからもめることはないと思っていても、実際に相続が始まると、思わぬトラブルになることも多々あります。転ばぬ先の杖ではありませんが、遺言書を用意しておくことはトラブルを未然に防ぐことにもなるのです。

 
 

遺言書の作成のほか、元気なうちにしておくことはないでしょうか?

 

不慮の事故や病気だけでなく、最近では認知症になる人が増えています。いざ、認知症になると、財産をどう管理して、子どもたちにどう分けるか判断が難しくなります。元気なうちに相続の話をするのは難しいかもしれませんが、早めに家族で集まり、親の意思や介護が必要になったときの役割分担などについても話し合っておくとよいでしょう。遺言書には、ただ、財産の分与だけでなく、全員の子どもの名前を書いて、それぞれに感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

 

また、認知症などで判断能力が低下している人のために援助してくれる人を家庭裁判所に選んでもらうのが後見人制度といいます。「法定後見」と「任意後見」があり、将来、判断能力が低下したときのことを考えてあらかじめ代理人(任意後見人)を選んでおき、自分の療養や財産管理について支援してもらうのが任意後見人制度となります。当NCPでは、任意後見をサポートするサービスも行っています。
相続に関しては、さまざまなケースがあり、一人ひとり事情が異なるなど、まさに千差万別ですので、やはり法律のプロである司法書士に相談されることをおすすめします。

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